8th MAY "SONO HITO"
Listening & Talk Session
「8th MAY 歌物語 "SONO HITO"を巡って」
酒本信太 × 桐田 敬介
8th MAYによる1時間の即興創作 歌物語 “SONO HITO”を聴きライナーノーツを書いてくださった
桐田敬介さんを迎えてアーティストトークを行います。
5月21日(土)15:00~17:00
1部 SONO HITO リスニング会
2部 アーティストトーク with 桐田圭介
全2時間ほどで開催します。
オンライン開催(zoom を使用します)
TICKET : ¥2200
(Museumチケットお持ちの方は20% OFFクーポンお送りします)
Message from 8th MAY Shinta SAKAMOTO
8th MAYは私の即興創作プロジェクトです。音楽という概念を大きく揺るがしたこれまでにない不思議な音楽のあり方です。
遡れば、2018年5月8日に、Maiの一言から始まりました。
「信太、ピアノを弾いてみて、私は歌うから」
とにかく、即興で引き始めた私。そして、即興で歌い始めたMai。そこには何の取り決めも、思惑も何もありません。
無条件のセッション。
そこから、私たち二人は音楽に集中し、いつの間にか音楽そのもになっていました。
そして録音されたものを聞くと、そこにはまるで初めからそこにあった様な音楽が立ち上がっていたのでした。
その二人での即興創作をIRIS SUNと名付けました。
8th MAYはその様に、一切の条件なしに行う即興演奏を酒本信太が一人で行うものです。
歌物語”SONO HITO”は、その第1巻となる、最初の作品です。
無条件の場に立ち、自由に、世界をクリエイトする。そんな音楽がここにあります。
その作品を聴いてくださった桐田さんが、また無条件に、ただ感動のままに書いてくれたのが今回公開したライナーノーツです。
彼の視点から洞察されたSONO HITOは新たな接面を私にもたらしました。見えていなかったこの作品の奥行きに、日が差してきた、そんな感覚です。
私が感じている、しかし言葉にうまくできないことがら、桐田さんが照らすSONO HITOの世界の深み。
彼がこれまで通ってきた多くの芸術作品との戯れがこの様な素晴らしい視点をもたらしていることは言わずもがなでしょう。
2022年5月21日、このSONO HITOを聴いて、桐田さんとお話しするイベント開催することとなりました。
Shinta
ライナーノーツから一部抜粋
written by Keisuke Kirita
音楽という芸術ジャンルが築き上げられて以降、クラシック、ブルース、ジャズ、ロッ ク、映画音楽、インストゥルメンタルなど、種々様々な音楽ジャンルの区別が打ち立てられて久しい。その個々別々の音楽ジャンルの内側で、ジャンル同士を横断し混合させなが ら、新たな作風と個性的な文彩を打ち立てることが音楽家の課題となっていくなか、音楽の起源を辿り直すかのように、文芸や演劇とが未分化なまま、虚構の抒情詩と歴史的叙述詩が渾然一体となった一つのパフォーミングアーツ作品を生み出したといって良い作品が本作、8th May「SONO HITO」である。
・・・中略・・・
名もなき兵士たちの声を掬い取る芭蕉の句を連想させるような草原の描写、『平家物語』のように人々の合戦を歌にしてきた法師たちを連想させるような白波たつ夜の沖合いに火の手のめぐる描写、またさまざまな絵巻や浮世絵を連想させる魑魅魍魎の殺し合いを描く男ににじりよる魂たちの声についての描写など、言の葉になりきらない声を「声」 として写しとってきた鎮魂されるもの/鎮魂するものの描写がこの表題曲には埋め尽くされている。この意味で“SONO HITO”はこの楽曲を通じて、そして本作全体を通して、そのひとの想いを受け取り解放していく物語として読むことのできる、非常に能楽的な構成を持っていると解釈できるかもしれない。この解釈が許されるならば、「そのひと」とは能楽でシテ役が演じるような、語り手の前に現れる匿名的で幽玄な存在から、次第に神霊や怨霊などの霊的な存在──特にこの列島で起きてきたことを見つめてきた人物──へと 変化していく人格的存在であるようにすら感じられる。
酒本信太 Shinta SAKAMOTO
1991年東京生まれ。3歳からピアノを弾き始める。12歳の時に、作曲と即興演奏、録音に目覚める。その後コンピューターを使った音楽制作への興味から理工系大学へ進学する。在学中に音楽レーベルを共同設立。作曲家としてアーティスト(水曜日のカンパネラ、小袋成彬 等)、映画『走れ絶望に追いつかれない速さで』等、企業CM(TOYOTA、ヘーベルハウス、ハレクラニホテル 等)へ楽曲提供を行う。
2015年冬、祖母の死に立ち合い、それまでの自身の生き方、創作活動への疑念をもち、仕事と大学を休止し、ロンドンへ遊学する。帰国後自ら詩をかき、歌を作り始める。
2016年冬、祖母の死から一年後、「まんまるい地球」という歌を作る。歌の誕生の瞬間に、自身が大きな愛に包み込まれる体験をする。自らの声で歌うことを心に決める。
2016年春、後に妻となる麻衣に出会い、彼女のTEDスピーチを聞いて、感動し「HOHOEMI」という歌を作る。すぐに意気投合して、公私共にパートナーとなる。カウアイ島、ネパール、パリ、ロンドンを二人で旅する中で次々と曲を制作する。 その後、作品制作に集中するために、それまでの仕事をやめ大学を退学し、自然豊かな奥武蔵にスタジオを構えて麻衣と共に音楽制作に約3年間没頭する。171曲を完成させ、その後、娘を授かり結婚。
2019年、麻衣と共に音楽レーベルを8th MAY Recordsを設立。
二人のユニットmaishintaとして3枚のアルバムをリリースし全国のタワーレコードで販売したのち、ベストアルバム「HOHOEMI」を製作。歌とピアノによる即興創作プロジェクト8th MAYとIRIS SUNとしてアルバムを4枚リリース。ソロピアノ曲を含めた、3年間で制作した171曲をストリーミングで期間限定配信を行なった。
最新作は誕生した娘への愛が溢れた作品”AYAME”
桐田 敬介 Keisuke KIRITA
1986年、埼玉県生まれ。専門はマキシン・グリーン研究。関連して学校教育、芸術 教育、カリキュラムデザイン。教育研究と実践支援に取り組む。ベンチャー、 NPO、公益財団法人を経て現在は個人事業主として芸術教育、哲学教育プログラム などの企画運営、教育機関等でのカリキュラムデザインとコンサルティング(学校 法人軽井沢風越学園、ヒロック初等部など)、教育プログラムのプログラム評価な どを行う。上智大学大学院総合人間科学研究科教育学専攻博士後期課程単位取得満 期退学。上智大学共同研究員、よはく代表。 主な研究業績としては分担執筆3件(『THE PALGRAVE HANDBOOK OF GLOBAL ARTS EDUCATION』Palgrave Macmillan.『図画工作・美術科 理論と実践』あいり出 版。『教師教育』さくら社)、原著論文8件、個展・グループ展等の参加3件。